SAM前世療法の本誘導に入る前に催眠感受性の体験をしてもらう事になるのだが、感受性の反応は良好であるのに催眠の深化が思うように進まない場合がある。ただ催眠感受性が高いからと言って深化が比例するかといえばそういうわけでもない。そこが人の意識の不思議さ、興味深さでもある。とはいえSAM前世療法施術においでになる方にとってはただの催眠体験でもなく実験でもない。被催眠者にとってはその先にある目的地に如何に到達するのかが重要なのだ。
催眠の深化が思うように進んでいないと感じる場面は催眠を通した全般で観察されることがある、
例えば知覚催眠に入り脱力が起こっているはずなのに、自発的な手や指の動きがある等どう考えても催眠が深化していないのではないか?と思われる時は身体的にそして精神的に何か不具合が起きていないか本人の顕在意識や潜在意識に確認をする事にしている。そうするとそこに催眠の深化を阻害する意識や身体的な問題がある場合が多いのだが、その後再催眠を行うと催眠が前より一段深化するのではないか?と主観的ではあるが感じるようになってきていた。そしてちょうどその主観に相応するのではないかと思われるのが催眠法の中の『漸進法(ぜんしんほう)=分割法』だったため 覚書として残しておきたいと思う。漸進とは少しずつ進んでいくこと。
【漸進法】(催眠面接法より一部抜粋)
これはフォクト(Vogt.O.1894)が初めて述べたもので、軽催眠、ないし中等度の催眠に入った被面接者を、もっと深くするために有効だとされている。すなわちたとえわずかでも催眠されたら、そこで被面接者を一旦覚醒させ、また被暗示性の低下しない間に、素早く再び催眠に誘導して、さっきよりもう少し被暗示性を高める。再び覚醒させたら、すぐまた催眠させる。こうして急速に催眠と覚醒を連続して繰り返すと、だんだん被暗示性は高まり催眠は深くなっていく。同時に、先に繰り返し感じで述べたように、彼の抵抗を低下させていく狙いも持っているのである。(中略)この催眠ー覚醒の繰り返しは何回か繰り返すのが良い。また、覚醒と催眠の間には感覚をおかないでも良いが、また覚醒した患者に催眠中の経験を話させておき、その時の感じを次の催眠誘導の暗示の中に織り込んでやるとうまくいく。これは一種のフィードバックの手続きであるが、催眠の体験が人によって著しく異なるので、その個人に応じた誘導暗示をするために、この方法は効果がある。